マールブルグ病-タンザニア連合共和国(2025年2月14日付)
状況概要
2025年1月20日にタンザニア連合共和国(以降、タンザニア)でマールブルグ病の発生が宣言されて以来、保健省は、カゲラ州ビハラムロ地区の流行の中心地から、さらに1例の死亡が確認されたことを報告しました。2025年2月10日現在、保健省は累計2例の確定症例と8例の可能性例を報告しています。10例の感染例全員が死亡しており、そのうち8例はアウトブレイクが確認される前に死亡しています。2025年2月10日現在、リストアップされ監視下にあった281人の接触者全員が21日間のフォローアップを完了しています。保健省は、活動の指針となる全国対応計画を策定しました。さらに、世界保健機関(WHO)と保健パートナーからの技術的・運営的支援を受けて、国家緊急対応チームが感染地域に派遣され、アウトブレイクの調査と対応を強化しました。
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発生の詳細
今回の事例に関する前回のDisease Outbreak Newsが2025年1月14日に発表されて以来、2例の確定症例が報告されており、感染源を確認するための努力が続けられています。
2025年2月10日現在、確定症例2例と可能性例8例の合計10例が報告されています。すべての症例が死亡しており、そのうち8例はアウトブレイクが確認される前に死亡しています。アウトブレイク宣言以降に確認された2例は、指定マールブルグ病治療センターで隔離中に死亡しました。 1月28日、最後の確定症例に対して安全かつ尊厳のある埋葬が行われました。この埋葬後、新たな確定症例や可能性例は報告されていません。
今回のアウトブレイクにおいて最初の症例と考えられるのは成人女性で、2024年12月9日に症状が現れ、12月16日に死亡しました。 10例の症例はすべてカゲラ州のビハラムロ地区から報告されました。症例の年齢中央値は30歳(範囲:1~75歳)で、大半(70%、7例)は女性でした。1月20日から2月10日の間に90例の疑い例が報告されましたが、いずれもマールブルグ病検査は陰性でした。
2025年2月10日現在、患者との接触者としてリストアップされた281人全員が21日間の追跡調査を完了しています。タンザニアで最初にマールブルグ病のアウトブレイクが発生したのは2023年3月、カゲラ州のブコバ地区と報告されています。フルーツコウモリを含む人獣共通感染症の宿主がこの地域に定着しているとみられます。2023年3月の流行は2か月近く続き、6例の死亡例を含む9例の患者が発生しました。
図1:タンザニアでマールブルグ病の確定例と可能性例が報告された地区 (2025年2月10日現在)

2025年2月10日現在、確定症例2例と可能性例8例の合計10例が報告されています。すべての症例が死亡しており、そのうち8例はアウトブレイクが確認される前に死亡しています。アウトブレイク宣言以降に確認された2例は、指定マールブルグ病治療センターで隔離中に死亡しました。 1月28日、最後の確定症例に対して安全かつ尊厳のある埋葬が行われました。この埋葬後、新たな確定症例や可能性例は報告されていません。
今回のアウトブレイクにおいて最初の症例と考えられるのは成人女性で、2024年12月9日に症状が現れ、12月16日に死亡しました。 10例の症例はすべてカゲラ州のビハラムロ地区から報告されました。症例の年齢中央値は30歳(範囲:1~75歳)で、大半(70%、7例)は女性でした。1月20日から2月10日の間に90例の疑い例が報告されましたが、いずれもマールブルグ病検査は陰性でした。
2025年2月10日現在、患者との接触者としてリストアップされた281人全員が21日間の追跡調査を完了しています。タンザニアで最初にマールブルグ病のアウトブレイクが発生したのは2023年3月、カゲラ州のブコバ地区と報告されています。フルーツコウモリを含む人獣共通感染症の宿主がこの地域に定着しているとみられます。2023年3月の流行は2か月近く続き、6例の死亡例を含む9例の患者が発生しました。
図1:タンザニアでマールブルグ病の確定例と可能性例が報告された地区 (2025年2月10日現在)

マールブルグ病の疫学
マールブルグ病は、重篤な症状を引き起こす高病原性疾患で、臨床的にはエボラウイルス病とよく似ています。それぞれオルソエボラウイルス属およびオルソマールブルグウイルス属のウイルスによって引き起こされますが、いずれもフィロウイルス科に属しています。鉱山や洞窟でよく見かけるルセットコウモリ(フルーツコウモリの一種)がマールブルグウイルスを媒介しており、これらのコウモリと濃厚に接触することで、ヒトはマールブルグウイルスに感染します。また、マールブルグウイルスは、感染者の血液、分泌物、臓器、その他の体液、およびこれらの体液で汚染された表面や材料(寝具、衣服など)との直接接触を介して(傷ついた皮膚や粘膜を通して)、人々の間で広がります。医療従事者がマールブルグ病の疑い例や確定診断された患者の治療中に感染したとの報告があります。遺体に直接触れる埋葬儀式でも、マールブルグウイルスに感染する可能性があります。
潜伏期間は2~21日です。マールブルグ病は突然の高熱、激しい頭痛、激しい倦怠感で発症し、激しい水様性の下痢、腹痛と腹部のけいれん、吐き気と嘔吐は3日目から始まります。すべての症例が出血徴候を示すわけではありませんが、重篤な出血徴候は症状発現から5~7日の間に現れることがあり、致死的な症例では通常、何らかの出血症状がみられ、それが複数の部位に及ぶこともしばしばあります。致死的な症例では、発症から8~9日後に死亡することが多く、通常、重度の出血とショックが先行します。現在のところ、マールブルグ病の治療法やワクチンはありません。現在、候補となるいくつかのワクチンや治療薬が研究中です。
これまでに世界で18件のマールブルグ病のアウトブレイクが報告されています。最近では、2024年9月から12月にかけてルワンダで発生が報告されました。アフリカ地域で過去にマールブルグ病の発生が報告されたその他の国には、アンゴラ共和国、コンゴ民主共和国、赤道ギニア共和国、ガーナ共和国、ギニア共和国、ケニア共和国、南アフリカ共和国、タンザニア、ウガンダ共和国があります。
潜伏期間は2~21日です。マールブルグ病は突然の高熱、激しい頭痛、激しい倦怠感で発症し、激しい水様性の下痢、腹痛と腹部のけいれん、吐き気と嘔吐は3日目から始まります。すべての症例が出血徴候を示すわけではありませんが、重篤な出血徴候は症状発現から5~7日の間に現れることがあり、致死的な症例では通常、何らかの出血症状がみられ、それが複数の部位に及ぶこともしばしばあります。致死的な症例では、発症から8~9日後に死亡することが多く、通常、重度の出血とショックが先行します。現在のところ、マールブルグ病の治療法やワクチンはありません。現在、候補となるいくつかのワクチンや治療薬が研究中です。
これまでに世界で18件のマールブルグ病のアウトブレイクが報告されています。最近では、2024年9月から12月にかけてルワンダで発生が報告されました。アフリカ地域で過去にマールブルグ病の発生が報告されたその他の国には、アンゴラ共和国、コンゴ民主共和国、赤道ギニア共和国、ガーナ共和国、ギニア共和国、ケニア共和国、南アフリカ共和国、タンザニア、ウガンダ共和国があります。
公衆衛生上の対応
保健当局は、以下を含む公衆衛生対策を実施しています:
- 保健省は、対応活動の指針となる国家対応計画を策定しました。
- このアウトブレイクの対応を調整するため、国家レベルでのインシデントマネジメントシステムが作動し、国家対策本部が発足し、毎週会議が開かれています。州レベルでは、カゲラ州で定期的な調整会議が開かれています。
- WHOとパートナーからの技術的・運営的支援を受けて、発生調査と対応を強化するため、国家緊急対応チームが発生地域に派遣されました。
- WHOは専門家を派遣し、さまざまな柱でパートナーの調整やその他の対応活動で保健省を支援しています。
- サーベイランス活動は、発生地全域で積極的な症例発見と接触者追跡を継続しています。
- カベイルに配備された移動検査室は、疑い症例の迅速な検査を支援し続けており、検体は追加検査のためにダルエスサラームの中央公衆衛生検査室に送られます。さらに、2つの陽性検体についてゲノム配列決定が行われました。
- カゲラ州から出国する旅行者のスクリーニングは、ブコバ空港を含む出入国の主要地点で継続されています。
- カゲラ州およびその他の地域では、感染予防と管理に関する医療従事者への説明会が継続中です。
- マールブルグ治療ユニットは、トリアージ、病室、着衣・脱衣スペースを強化し、アップグレードされました。健康教育、地域保健ワーカーによる戸別訪問、高リスク地域での啓発を含む公衆意識向上キャンペーンが進行中です。
- タンザニア、ウガンダ共和国、ブルンジ共和国の間では、国際会議が開かれています。
- WHOは、対応を支援するため、ウイルス性出血熱検出キットを4つ調達し、カゲラ地域に届けました。
WHOによるリスク評価
このマールブルグ病アウトブレイクのリスクは、いくつかの懸念要因から国レベルでは高いと評価されています。このアウトブレイクには、10例の死亡者を含む10例の症例(可能性例が8人、確定症例が2人)が含まれており、CFRは100%です。1症例は医療従事者であり、院内伝播のリスクを強調しています。発生源はまだ不明です。症例の発見と隔離が遅れたため、伝播の連鎖が見逃された可能性があります。
カゲラ州は、ルワンダ共和国、ウガンダ共和国、ブルンジ共和国、コンゴ民主共和国への国境を越えた住民の移動が著しく、中継地点として戦略的に重要な位置にあるため、地域的リスクは高いと考えられます。このことは、近隣諸国への感染拡大の可能性を示しています。 マールブルグ病は容易に感染するものではありません(つまり、ほとんどの場合、症状を呈した病人の体液や、体液で汚染された表面に接触する必要があります)。しかし、ウイルスに感染した人が旅行する可能性は否定できません。
現在、世界的なリスクは低いと評価されています。潜在的なリスクが懸念されるものの、現段階では国際的な広がりは確認されていません。タンザニアのカゲラ州は、首都や主要な国際空港の近くではありませんが、交通網が発達しており、ダルエスサラームにつながる空港があるため、タンザニア国外への空路での移動が可能です。このため、関連する入国地点や国境でのサーベイランスや症例管理能力を強化し、近隣諸国と緊密に連携して準備態勢を強化する必要性が示されました。
カゲラ州は、ルワンダ共和国、ウガンダ共和国、ブルンジ共和国、コンゴ民主共和国への国境を越えた住民の移動が著しく、中継地点として戦略的に重要な位置にあるため、地域的リスクは高いと考えられます。このことは、近隣諸国への感染拡大の可能性を示しています。 マールブルグ病は容易に感染するものではありません(つまり、ほとんどの場合、症状を呈した病人の体液や、体液で汚染された表面に接触する必要があります)。しかし、ウイルスに感染した人が旅行する可能性は否定できません。
現在、世界的なリスクは低いと評価されています。潜在的なリスクが懸念されるものの、現段階では国際的な広がりは確認されていません。タンザニアのカゲラ州は、首都や主要な国際空港の近くではありませんが、交通網が発達しており、ダルエスサラームにつながる空港があるため、タンザニア国外への空路での移動が可能です。このため、関連する入国地点や国境でのサーベイランスや症例管理能力を強化し、近隣諸国と緊密に連携して準備態勢を強化する必要性が示されました。
WHOからのアドバイス
マールブルグウイルスのヒトからヒトへの感染は、主に感染者の血液および/またはその他の体液との直接接触に関連しています。WHOは、マールブルグ病の感染を減らし、アウトブレイクを抑制する効果的な方法として、以下のようなリスク軽減策を講じるよう勧告しています。
予防: ウイルスへの人体曝露を減らすために、個人が取るべき防護策には以下のものがあります:
調整: 対応に関わるすべてのレベルにおいて、多部門調整、柱となる会議、詳細な状況報告の共有が奨励されます。様々な利害関係者やパートナーが準備と対応活動に参加することも奨励されます。効果的かつ持続的な対応を確保するため、政府内およびパートナーとの資源動員努力が推奨されます。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント(RCCE;Risk Communication and Community Engagement) :マールブルグ病の発生を抑制するためには、一般市民の意識向上とコミュニティとの連携が重要です。これには、症状、感染の危険因子、予防策、医療機関で直ちに治療を受けることの重要性に対する認識を高めることが含まれます。このような意識は、的を絞ったキャンペーンやコミュニティとの直接的な活動を通じて高めるべきです。特に、伝統的なヒーラー、聖職者、コミュニティの指導者などの高リスクグループに特に注意を払う必要があります。これらの方々は意図せず病気の蔓延を促進する可能性があり、一方でコミュニティの重要な情報源でもあります。
マールブルグ病のRCCEに携わる対応者のための勧告は、WHOの「マールブルグウイルス感染症発生時のリスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント」に掲載されています:
サーベイランス: アウトブレイク発生地、および近隣地域全体における積極的な症例発見、接触者追跡、警報管理を強化すべきです。特にリスクの高い地域では、新しい症例を迅速に特定し報告するために、地域ベースの監視システムを強化すべきです。医療従事者、家族、感染の疑いがある患者と接触したことのある個人、あるいはその他の高接触環境における個人を綿密に監視することが必要です。また、国際的な広がりを含め、さらなる感染拡大のリスクを減らすため、関連する入国地点や国境でのサーベイランスを強化すべきです。
感染予防と管理(IPC ; infection prevention and control)対策: エボラウイルス病とマールブルグ病に対するWHOの感染予防・管理ガイドラインでは、感染リスクを最小化するために、感染予防・管理迅速評価、医療施設と家庭の除染、疑い患者のスクリーニングと隔離による早期発見と特定を含みますがこれに限定されないIPCリングアプローチの迅速な実施の重要性を強調しています。
検査室での検査: 検体の処理と分析を迅速に行い、その結果を迅速に対応者や臨床医と共有し、患者管理、封じ込め戦略、より広範な対応のための指針とすべきです。これには、陽性検体のゲノム配列決定から得られる配列も含まれます。検査室間の比較のために、地域の基準検査室への検体の国際的な照会を検討すべきです。エボラ出血熱およびマールブルグウイルス感染症の診断検査:中間指針
医療対策候補の評価: マールブルグ病に対して認可されたワクチンや治療薬はありません。いくつかのワクチン候補が開発中であり、アウトブレイクがその有効性と安全性を評価する機会となります。プロトコルとフィロウイルスの専門家のネットワークがあり、各国の研究者を支援する準備が整っています。
安全で尊厳のある埋葬: コミュニティへの曝露を最小限に抑えるため、死亡した人々のために安全で尊厳のある埋葬プロトコルを実施すべきです。マールブルグ病に関連した死亡者の安全な管理を確実にするため、医療従事者と埋葬チームに対する追加的な研修と設備が提供されるべきです。影響を受けたコミュニティがプロトコルを遵守する権限を与えられるよう、徹底したコミュニティエンゲージメントが必要です。マールブルグ病が疑われる、または確認された患者の安全で尊厳ある埋葬の方法。
症例管理と心理社会的支援: 隔離施設や治療施設は、患者ケアの安全性と有効性を確保すると同時に、病気の蔓延を防ぐために十分な設備を整える必要があります。患者とその家族に対する水分補給、症状管理、心理的サポートなどの支持的ケアは、生存率を向上させ、流行の影響を緩和するために不可欠です。
国境保健と国境を越えた調整 :国際的な拡大も含め、さらなる拡大を防ぐため、関連する入国地点、輸送機関上、国境地域でのサーベイランスと対応能力を強化すべきです。WHOの国境保健および入国地点におけるフィロウイルス感染症アウトブレイクに関する技術ガイダンスに基づき、感染者の定義に適合する徴候や症状を示す感染者、接触者、および感染地域の個人は、渡航を控えるよう勧告されるべきです。報告メカニズムを調和させ、共同調査を行い、重要なデータをリアルタイムで共有するために、近隣諸国との協力を強化すべきです。周辺国は、症例の早期発見、隔離、治療を可能にするため、準備活動を強化すべきです。フィロウイルス感染症発生時の国境保健および入国地点に関する考慮事項
備えと準備: 新たな症例の早期発見と管理のために、検査室や隔離ユニットなどの適切な対応メカニズムが十分に備えられていることを確認するため、リスクの高い地域における準備状況の評価を実施すべきです。
渡航と貿易:現在のリスク評価に基づき、WHOはタンザニアに対する渡航・貿易の制限を設けないよう勧告します。
予防: ウイルスへの人体曝露を減らすために、個人が取るべき防護策には以下のものがあります:
- 感染した患者との直接または密接な接触、特にその体液によるコミュニティでのヒト-ヒト感染のリスクを軽減するため、マールブルグ病患者との密接な身体的接触は避けるべきです。
- マールブルグ病が疑われる、あるいは確認された患者は、直ちに医療施設での治療を受け、早期治療と家庭での感染を避けるため、指定された治療センターに隔離されるべきです。
- 地域住民や家族は、自宅で症状のある人の世話をしたり、マールブルグ病の症状で死亡した人の遺体に触れたりすることを避けるべきです。その他の汚染された可能性のある物や表面にも触れないようにすべきです。症状がある場合は、医療機関で評価と治療を受けるよう勧めるべきです。
- フルーツコウモリのコロニーが生息する鉱山や洞窟での作業や研究活動、観光客の訪問の際には、フルーツコウモリのコロニーが生息する鉱山や洞窟に長時間さらされることから生じるコウモリからヒトへの感染のリスクを軽減するために、手袋やその他の適切な防護服(マスクを含む)を着用すべきです。さらに、発生時には、すべての動物性食品(血液および肉)を十分に加熱してから摂取しなければなりません。
調整: 対応に関わるすべてのレベルにおいて、多部門調整、柱となる会議、詳細な状況報告の共有が奨励されます。様々な利害関係者やパートナーが準備と対応活動に参加することも奨励されます。効果的かつ持続的な対応を確保するため、政府内およびパートナーとの資源動員努力が推奨されます。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント(RCCE;Risk Communication and Community Engagement) :マールブルグ病の発生を抑制するためには、一般市民の意識向上とコミュニティとの連携が重要です。これには、症状、感染の危険因子、予防策、医療機関で直ちに治療を受けることの重要性に対する認識を高めることが含まれます。このような意識は、的を絞ったキャンペーンやコミュニティとの直接的な活動を通じて高めるべきです。特に、伝統的なヒーラー、聖職者、コミュニティの指導者などの高リスクグループに特に注意を払う必要があります。これらの方々は意図せず病気の蔓延を促進する可能性があり、一方でコミュニティの重要な情報源でもあります。
マールブルグ病のRCCEに携わる対応者のための勧告は、WHOの「マールブルグウイルス感染症発生時のリスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント」に掲載されています:
- RCCEに十分な資源を割り当て、リスクのあるコミュニティがアウトブレイクに対応できるようにします。
- 社会的・行動的データと証拠を収集、分析、利用し、マールブルグ病の準備と対応策を導きます。
- マールブルグ病に関連するリスクを複数のチャンネルを通じて迅速に伝えます。また、意識を高め、医療の利用を推進し、不確実性を説明するための適切なメッセージを共有します。
- 信頼を育み、早期の症状報告を促進するため、コミュニティでの統合されたフィードバック・メカニズムを通じてインフォデミックに対処し、正確な健康情報で誤報や噂に対抗します。
- マールブルグ病の偏見と差別を理解し、防止し、対処します。
- マールブルグ病の対策及び対応措置の計画と実施にコミュニティを関与させましょう。特に、マールブルグ病の症状で亡くなった人のための安全で尊厳のある埋葬方法について、配慮のある支援的な情報提供に焦点を当てます。
サーベイランス: アウトブレイク発生地、および近隣地域全体における積極的な症例発見、接触者追跡、警報管理を強化すべきです。特にリスクの高い地域では、新しい症例を迅速に特定し報告するために、地域ベースの監視システムを強化すべきです。医療従事者、家族、感染の疑いがある患者と接触したことのある個人、あるいはその他の高接触環境における個人を綿密に監視することが必要です。また、国際的な広がりを含め、さらなる感染拡大のリスクを減らすため、関連する入国地点や国境でのサーベイランスを強化すべきです。
感染予防と管理(IPC ; infection prevention and control)対策: エボラウイルス病とマールブルグ病に対するWHOの感染予防・管理ガイドラインでは、感染リスクを最小化するために、感染予防・管理迅速評価、医療施設と家庭の除染、疑い患者のスクリーニングと隔離による早期発見と特定を含みますがこれに限定されないIPCリングアプローチの迅速な実施の重要性を強調しています。
- マールブルグ病と確定診断された、またはマールブルグ病が疑われる患者をケアする医療従事者は、患者の血液やその他の体液、汚染された表面や物体との接触を避けるために、WHOの5つの瞬間に従って個人防護具の適切な使用や手指衛生を含む標準予防策に加えて、感染に基づく予防策を適用すべきです。医療施設で発生する廃棄物は、安全に分別され、安全に収集、運搬、保管、処理され、最終的に処分されなければならなりません。安全な廃棄物処理に関する国のガイドライン、規則、規制に従うか、WHOの安全な廃棄物管理に関するガイドラインに従います。
- 患者ケア活動は、医療における必須環境衛生基準に概説されているように、医療関連感染 の予防と制御に関連する実践を容易にする清潔で衛生的な環境で行われるべきです。医療施設では、安全な水、適切な衛生設備、衛生インフラおよびサービスが提供されるべきです。勧告と改善の詳細については、WASH FIT実施パッケージに従ってください。
検査室での検査: 検体の処理と分析を迅速に行い、その結果を迅速に対応者や臨床医と共有し、患者管理、封じ込め戦略、より広範な対応のための指針とすべきです。これには、陽性検体のゲノム配列決定から得られる配列も含まれます。検査室間の比較のために、地域の基準検査室への検体の国際的な照会を検討すべきです。エボラ出血熱およびマールブルグウイルス感染症の診断検査:中間指針
医療対策候補の評価: マールブルグ病に対して認可されたワクチンや治療薬はありません。いくつかのワクチン候補が開発中であり、アウトブレイクがその有効性と安全性を評価する機会となります。プロトコルとフィロウイルスの専門家のネットワークがあり、各国の研究者を支援する準備が整っています。
安全で尊厳のある埋葬: コミュニティへの曝露を最小限に抑えるため、死亡した人々のために安全で尊厳のある埋葬プロトコルを実施すべきです。マールブルグ病に関連した死亡者の安全な管理を確実にするため、医療従事者と埋葬チームに対する追加的な研修と設備が提供されるべきです。影響を受けたコミュニティがプロトコルを遵守する権限を与えられるよう、徹底したコミュニティエンゲージメントが必要です。マールブルグ病が疑われる、または確認された患者の安全で尊厳ある埋葬の方法。
症例管理と心理社会的支援: 隔離施設や治療施設は、患者ケアの安全性と有効性を確保すると同時に、病気の蔓延を防ぐために十分な設備を整える必要があります。患者とその家族に対する水分補給、症状管理、心理的サポートなどの支持的ケアは、生存率を向上させ、流行の影響を緩和するために不可欠です。
国境保健と国境を越えた調整 :国際的な拡大も含め、さらなる拡大を防ぐため、関連する入国地点、輸送機関上、国境地域でのサーベイランスと対応能力を強化すべきです。WHOの国境保健および入国地点におけるフィロウイルス感染症アウトブレイクに関する技術ガイダンスに基づき、感染者の定義に適合する徴候や症状を示す感染者、接触者、および感染地域の個人は、渡航を控えるよう勧告されるべきです。報告メカニズムを調和させ、共同調査を行い、重要なデータをリアルタイムで共有するために、近隣諸国との協力を強化すべきです。周辺国は、症例の早期発見、隔離、治療を可能にするため、準備活動を強化すべきです。フィロウイルス感染症発生時の国境保健および入国地点に関する考慮事項
備えと準備: 新たな症例の早期発見と管理のために、検査室や隔離ユニットなどの適切な対応メカニズムが十分に備えられていることを確認するため、リスクの高い地域における準備状況の評価を実施すべきです。
渡航と貿易:現在のリスク評価に基づき、WHOはタンザニアに対する渡航・貿易の制限を設けないよう勧告します。
出典
World Health Organization(14 February 2025)Disease Outbreak News; Marburg Virus Disease–United Republic of Tanzania
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON554
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON554
海外へ渡航される皆様へ
マールブルグ病は、マールブルグウイルスによって引き起こされる感染症で、症状や広がり方は、エボラウイルス病とよく似ています。このウイルスは主に、鉱山や洞窟にいるコウモリからヒトに感染します。また、感染したヒトの血液や体液、汚染された物(例えば寝具や衣類など)に直接触れることで、感染することがあります。
発病すると、最初は高熱や激しい頭痛、強い疲労感が出ます。その後、下痢や腹痛、嘔吐といった症状が現れ、重症になると体のいろいろな部分から出血することもあります。致命率が高く、重症の方は亡くなることもあります。現在、この病気には特別な治療法やワクチンはありません。
1.コウモリが生息する場所を避ける
洞窟や鉱山など、コウモリがいる場所への立ち入りは控えてください。また、コウモリに触れたり、コウモリ由来の食品を摂取したりしないようにしましょう。
2.体液との接触を避ける
マールブルグ病患者、感染疑いのある者や動物の血液、体液に直接触れないように注意してください。
3.感染対策を徹底する
手洗いをこまめに行い、手指消毒剤を携帯することをお勧めします。滞在中、もし体調不良を感じたら、すぐに現地の医療機関に連絡し、医師の指示に従ってください。
4.渡航中・渡航後の健康管理を徹底する
渡航中・渡航後の体調の変化に注意し、発熱や体調不良があれば、すぐに医療機関を受診し、最近の渡航歴を伝えましょう。また、入国の際に体調に異常がある場合は、検疫官にお知らせください。
マールブルグ病は過去にアフリカのいくつかの国などで報告されています。マールブルグ病が発生中の国を確認し、発生地域やその近くへ行く予定のある方は十分に注意してください。安全な渡航のため最新情報の確認と感染対策を心がけましょう。
発病すると、最初は高熱や激しい頭痛、強い疲労感が出ます。その後、下痢や腹痛、嘔吐といった症状が現れ、重症になると体のいろいろな部分から出血することもあります。致命率が高く、重症の方は亡くなることもあります。現在、この病気には特別な治療法やワクチンはありません。
1.コウモリが生息する場所を避ける
洞窟や鉱山など、コウモリがいる場所への立ち入りは控えてください。また、コウモリに触れたり、コウモリ由来の食品を摂取したりしないようにしましょう。
2.体液との接触を避ける
マールブルグ病患者、感染疑いのある者や動物の血液、体液に直接触れないように注意してください。
3.感染対策を徹底する
手洗いをこまめに行い、手指消毒剤を携帯することをお勧めします。滞在中、もし体調不良を感じたら、すぐに現地の医療機関に連絡し、医師の指示に従ってください。
4.渡航中・渡航後の健康管理を徹底する
渡航中・渡航後の体調の変化に注意し、発熱や体調不良があれば、すぐに医療機関を受診し、最近の渡航歴を伝えましょう。また、入国の際に体調に異常がある場合は、検疫官にお知らせください。
マールブルグ病は過去にアフリカのいくつかの国などで報告されています。マールブルグ病が発生中の国を確認し、発生地域やその近くへ行く予定のある方は十分に注意してください。安全な渡航のため最新情報の確認と感染対策を心がけましょう。
備考
厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成。
For translations: “This translation was not created by the World Health Organization (WHO). WHO is not responsible for the content or accuracy of this translation. The original English edition “Marburg Virus Disease –United Republic of Tanzania. Geneva: World Health Organization; 2025. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO” shall be the binding and authentic edition”.
For adaptations: “This is an adaptation of an original work “Marburg Virus Disease –United Republic of Tanzania. Geneva: World Health Organization (WHO); 2025. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO”. This adaptation was not created by WHO. WHO is not responsible for the content or accuracy of this adaptation. The original edition shall be the binding and authentic edition”.
For translations: “This translation was not created by the World Health Organization (WHO). WHO is not responsible for the content or accuracy of this translation. The original English edition “Marburg Virus Disease –United Republic of Tanzania. Geneva: World Health Organization; 2025. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO” shall be the binding and authentic edition”.
For adaptations: “This is an adaptation of an original work “Marburg Virus Disease –United Republic of Tanzania. Geneva: World Health Organization (WHO); 2025. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO”. This adaptation was not created by WHO. WHO is not responsible for the content or accuracy of this adaptation. The original edition shall be the binding and authentic edition”.