スーダンウイルス病-ウガンダ共和国(2025年4月26日)
海外へ渡航される皆様へ
今回ウガンダで報告されたスーダンウイルス病は、スーダンウイルスによる感染症で、エボラ出血熱の一種です。感染動物、患者との接触が主な感染経路で、感染してから1~2週間程度で、発熱、頭痛といった症状が出現し、重症化すると様々な部位からの出血を起こし、死亡することがあります。動物や体調の悪い方に接する場合は手袋やマスクなどを着用し、直接触れないようにすることで感染リスクを軽減できます。
今回は流行が収まったという報告ですが、ウガンダでは過去にも発生報告があるので、以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください。
●渡航前の情報収集
スーダンウイルス病を含むエボラ出血熱に関する情報や、その他のウガンダで流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックなどで渡航前に感染対策などを相談することも可能です。
●渡航中の健康管理
1.基本的な感染予防策
石鹸と水での手洗いやアルコール消毒液の使用などの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的感染対策は、スーダンウイルス病を含むエボラ出血熱、その他のさまざまな感染症に対しても有効です。
2.リスクを軽減するための対策
スーダンウイルス病は感染している動物や患者との接触が主な感染経路です。これらとの接触や、死体に触れるといったリスクの高い行動をとる場合は、手袋やマスクを使用し、直接の接触を避けることで、感染リスクを減らすことができます。
3.体調不良時の行動
渡航中に発熱、頭痛など、スーダンウイルス病が疑われる症状が現れた場合は、速やかに現地の医療機関を受診し、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。同じような症状が出るほかの感染症も考えられますので、診断を受けることが重要です。
●帰国後の対応
日本へ帰国した際に体調に異常があれば、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えたうえで相談してください。
帰国後1~2週間程度の期間はご自身の健康状態に注意し、異常があれば速やかに医療機関に相談してください。この際も渡航歴・現地での行動を伝えてください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項はここに注意!海外渡航にあたってをご参照ください。
以下のDisease Outbreak Newsの翻訳およびメッセージ原案は、厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳を作成しています。
今回は流行が収まったという報告ですが、ウガンダでは過去にも発生報告があるので、以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください。
●渡航前の情報収集
スーダンウイルス病を含むエボラ出血熱に関する情報や、その他のウガンダで流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックなどで渡航前に感染対策などを相談することも可能です。
●渡航中の健康管理
1.基本的な感染予防策
石鹸と水での手洗いやアルコール消毒液の使用などの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的感染対策は、スーダンウイルス病を含むエボラ出血熱、その他のさまざまな感染症に対しても有効です。
2.リスクを軽減するための対策
スーダンウイルス病は感染している動物や患者との接触が主な感染経路です。これらとの接触や、死体に触れるといったリスクの高い行動をとる場合は、手袋やマスクを使用し、直接の接触を避けることで、感染リスクを減らすことができます。
3.体調不良時の行動
渡航中に発熱、頭痛など、スーダンウイルス病が疑われる症状が現れた場合は、速やかに現地の医療機関を受診し、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。同じような症状が出るほかの感染症も考えられますので、診断を受けることが重要です。
●帰国後の対応
日本へ帰国した際に体調に異常があれば、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えたうえで相談してください。
帰国後1~2週間程度の期間はご自身の健康状態に注意し、異常があれば速やかに医療機関に相談してください。この際も渡航歴・現地での行動を伝えてください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項はここに注意!海外渡航にあたってをご参照ください。
以下のDisease Outbreak Newsの翻訳およびメッセージ原案は、厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳を作成しています。
状況の概要
2025年4月26日、ウガンダ保健省は、スーダンウイルス病(以降「SVD」と表記する。)の流行終息を宣言しました。これは、最後のSVD確定症例が2025年3月14日にウイルス検査で陰性となってから、潜伏期間の2倍の期間(合計42日間)経過したことによるものです。この流行では、合計14例のSVD症例(確定症例12例、可能性例2例)が報告され、うち確定例2例、可能性例2例の4例が死亡しています。WHOとパートナー機関は、流行封じ込めのため、ウガンダ政府に技術支援、運営支援、財政支援を提供しました。流行終息が宣言されましたが、ウガンダの保健当局は再発を迅速に探知し対応できるよう監視体制を維持しています。リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメントも継続し、地域社会が常に情報を入手し、罹患した人々への偏見を最小限に抑えるよう努めています。
発生の詳細
2025年3月8日に公表された本件に関する3回目の疾病発生ニュース以降、SVDの新たな確定症例は報告されていません。ウガンダでは2025年1月30日にアウトブレイクが宣言され、2025年4月25日の時点で、確定症例12例、可能性例2例が報告され、死亡例4例(確定例2例、可能性例2例)、致命率は29%でした。確定症例の年齢の範囲は1歳半から55歳で、平均年齢は27歳であり、全体の55%を男性を占めていました。症例は、フォートポータルシティ、ジンジャ、カンパラ、キェゲグワ、ムバレ、ントロコ、ワキソを含む国内の7つの地区から報告されました(図1)。
確定症例のうち10例はSVD治療センターで治療を受け、その中には2025年3月15日に退院した最後の2例が含まれています。2025年4月24日時点で、フォートポータルシティ、ジンジャ、カンパラ、ムバレ、ントロコ、ワキソで534人の接触者が特定され、追跡調査が行われています。
2025年4月26日、ウガンダ保健省はアウトブレイクの終息を宣言しました。この宣言は、WHOの勧告に基づき、SVDと確定された最後の症例が、2025年3月14日に2回目のウイルス検査で陰性となってから、潜伏期間の2倍の期間(合計42日間)が経過したことを受けたものです。
図1:2025年1月30日から4月25日までの間にウガンダで報告されたSVD確定例および可能性例の地域別報告数

図2:発症日別のSVD確定症例および可能性例の症例数、2025年4月25日時点(n=14)

確定症例のうち10例はSVD治療センターで治療を受け、その中には2025年3月15日に退院した最後の2例が含まれています。2025年4月24日時点で、フォートポータルシティ、ジンジャ、カンパラ、ムバレ、ントロコ、ワキソで534人の接触者が特定され、追跡調査が行われています。
2025年4月26日、ウガンダ保健省はアウトブレイクの終息を宣言しました。この宣言は、WHOの勧告に基づき、SVDと確定された最後の症例が、2025年3月14日に2回目のウイルス検査で陰性となってから、潜伏期間の2倍の期間(合計42日間)が経過したことを受けたものです。
図1:2025年1月30日から4月25日までの間にウガンダで報告されたSVD確定例および可能性例の地域別報告数

図2:発症日別のSVD確定症例および可能性例の症例数、2025年4月25日時点(n=14)

スーダンウイルス病(SVD)の疫学
SVDは、エボラウイルスと同じ科に属するスーダンウイルスによって引き起こされるウイルス性出血熱で、致命率の高い重篤な感染症です。典型的には、非特異的な症状および徴候(腹痛、食欲不振、疲労、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛など)を伴う発熱の急性発症が特徴で、通常、数日後に吐き気、嘔吐、下痢、時に多様な発疹が続いて出現します。しゃっくりが出ることもあります。重症化すると、出血症状(穿刺部位からの出血、斑状出血、点状出血、内臓液貯留など)、脳症、ショック/低血圧、多臓器不全、感染した妊婦の自然流産などが起こることがあります。回復しても後遺症(例えば、関節痛、神経認知機能障害、白内障の原因になることがあるぶどう膜炎)が長引くことがあり、症候性および不顕性持続感染が免疫特権部位(免疫応答が発動しにくい部位:中枢神経系、眼、精巣など)で起こることがあります。ヒトからヒトへの感染は、血液、その他の体液、臓器、または汚染された表面や物質との直接接触によって起こり、感染させるリスクは臨床症状の発現時から始まり、疾患の重症度とともに増大します。家族、医療従事者、埋葬儀式の参加者など、死体に直接接触した者は特にリスクが高いとされています。潜伏期間は2~21日の範囲ですが、通常は7~11日です。
公衆衛生上の対応
保健当局は、以下を含みつつ、このことに限定されない公衆衛生対策を実施しました。
調整:
サーベイランスと接触者追跡:
症例管理:
検査室:
感染予防と管理(IPC):
リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメント(RCCE)
研究開発
WHOは国の当局を以下の方法で支援しました。
調整:
- 保健省は、国家タスクフォースやインシデント・マネジメント・チームを含む国レベルおよび地方レベルの調整機構を活性化し、被害を受けた地区に迅速対応チームを派遣しました。
- 国は国家対応計画(2025年2月~4月の期間)を策定しました。この対応計画は、対応の優先順位を反映するよう更新され、過去のアウトブレイクから学んだ教訓に基づいています。この計画では、リスクに応じて、活動パッケージが各地区に展開されました。
サーベイランスと接触者追跡:
- 保健省は、世界保健機関(WHO)やパートナーの支援を受けて、フリーダイヤルを備えたアラートデスクの設置を含むアラート管理を実施し、症例定義に合致する全国からのアラートを検知・確認しました。1月30日以降、全国から3,757件のシグナルが報告され、2,700件のアラートが疑い例として確認されました。
- 保健省は、パートナーからの支援を受けて、すべての確定症例と可能性例について詳細な疫学調査を実施するチームを割り当て、感染の連鎖の特定と阻止を行いました。
- 保健省は、症例の接触者リストを作成し、接触者を毎日追跡調査するチームを配置しました。
- アウトブレイクの宣言後、保健省はWHOの支援を受けて死亡率サーベイランスを確立しました。2,940人以上の非外傷死亡者について、感染が報告されている地区のコミュニティや医療施設で検査が行われ、1例が陽性と判定されました。
- 保健省は、エンテベ国際空港を含むウガンダの13の優先入国地点で、旅行者に対し、SVDの徴候や症状のスクリーニングを実施しました。
症例管理:
- 保健省は、WHOやパートナーの支援を受け、フォートポータル、ジンジャ、カンパラ、ムバレの4カ所に隔離治療ユニットを設置し、確定症例は最適な支持療法を受けました。
- 保健省は症例管理戦略を拡大し、すべてのホットスポットで可能性例と確定症例に十分なケアを提供できる能力を確保しました。
- この病気から回復した患者は、サバイバーケアプログラムに組み入れられ、支援とケアを受けています。
検査室:
- 保健省とパートナーは、検査室の能力を強化し、検査結果の所要時間を短縮するため、ムバレに移動検査室を配備しました。
- 保健省は、最初に確認された症例の検体について全ゲノム塩基配列の解析を実施し、その結果からは今回のアウトブレイクは動物からヒトへの感染(スピルオーバー事象)による可能性が高いことが示唆されています。その後の確定症例の検体についても全ゲノム塩基配列の解析が実施されました。
感染予防と管理(IPC):
- 保健省は、包囲的な感染予防管理(IPC ; Infection Prevention and Control)対応の調整機能を活性化し、確定症例が立ち寄った場所での清掃・消毒を含むIPCリング対策を実施しました。
- 保健省は医療従事者、地区指導者、一般市民に対し、疑い例の発見を強化し、適切な感染予防・管理対策を実施するよう勧告しました。
- 保健省は、パートナーの支援を受けて、感染予防と管理活動を強化し、特に、疑い例をよりよく発見するために、医療施設でのスクリーニング、隔離、通知の体制を改善しました。
リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメント(RCCE)
- RCCEチームは、対策の他の部門がよりコミュニティにアクセスできるように支援する統合的なコミュニティ・エンゲージメントの手法を採用しました。これにより信頼関係を構築し、接触者追跡、症例調査、地域でのサーベイランス、隔離ユニットへの紹介、心理社会的支援の提供といった取り組みが強化されました。
- 人類学的調査は、コミュニティの懸念やリスク行動を特定し、コミュニティからの躊躇を減らし、各対策分野においてエビデンスに基づいた意思決定を強化するために行われ、確定症例が報告されたコミュニティにおいて効果的な対応に不可欠です。
- リスクコミュニケーションのメッセージは戦略的に開発され、広く発信され、予防行動と健康増進行動の促進につながりました。同時に、宗教指導者、教師、伝統的なヒーラー、その他のコミュニティにおいて影響力のある人々と継続的な地域連携活動を行うことで、信頼関係の構築に役立ち、より広範な対応活動におけるコミュニティの協力を支援しました。
研究開発
- 研究の優先順位:フィロウイルス科共同公開研究コンソーシアム(FILOVIRUS CORC ; Collaborative Open Research Consortium)は、スーダン・エボラウイルス全般と今回のアウトブレイクに関する研究の優先順位を検討・特定するため、2回の国際協議を開催しました。この2回の協議には、それぞれ世界中から200人以上の科学者が参加しました。
- リングワクチン接種試験:ウガンダ保健省は、WHOとそのパートナーの支援を受けて、スーダンウイルスに対するワクチン試験を開始しました。これは、スーダンウイルスに対するワクチンの臨床的な有効性を評価する初めての試験です。 この試験はアウトブレイクが宣言されてからわずか4日後に開始されており、厳格な倫理基準と規制基準を維持しつつ、対応の緊急性を反映しました。1月30日にアウトブレイクが宣言された後、ウガンダ・マケレレ大学とウガンダウイルス研究所(UVRI)の研究者はWHOの支援を受けて、 ワクチン接種試験と、すべての確定症例の接触者の定義と無作為化を行いました。試験はリングワクチン接種プロトコルに準拠しており、確定症例の接触者にワクチン接種が提案され、直ちに接種するか後日接種するかを無作為に割り付け、ワクチンの有効性、安全性、および免疫原性を評価しました。
- プロトコルと研究の優先順位は、マールブルグウイルスワクチン(MARVAC)コンソーシアムおよびフィロウイルス科共同公開研究コンソーシアム(CORC;Collaborative Open Research Consortium)を通じて、オープンな共同アプローチで策定されました。これは、ウガンダの医療従事者の献身的な取り組み、地域社会、ウガンダ保健省、マケレレ肺研究所、UVRI、そしてWHO主導の研究努力と、フィロウイルス研究開発ネットワークを通じた数百人の科学者の協力によって実現しました。ワクチンは国際エイズワクチンイニシアチブ(IAVI;International AIDS Vaccine Initiative)から寄贈され、資金援助は感染症流行対策イノベーション連合(CEPI;Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)、欧州保健緊急事態準備・対応局(HERA;Health Emergency Preparedness and Response) およびカナダの国際開発研究センター(IDRC;International Development Research Centre)から提供され、さらにアフリカCDCからも支援を受けました。
- 治療薬の治験:現在、いくつかの候補治療薬が臨床開発段階にありますが、スーダンウイルスによって引き起こされるエボラ出血熱の今後の流行に効果的に対処できる承認済みの治療法はまだありません。この治療薬試験はウガンダで必要な倫理および規制当局の承認を取得できず、開始されませんでした。
- IAVIは候補ワクチンを寄付し、 MappBio社は抗スーダンウイルスモノクローナル抗体候補を、ギリアド社は抗ウイルス薬であるレムデシビルを提供しました。
WHOは国の当局を以下の方法で支援しました。
- リスク評価、積極的な症例探知、警告の通知、症例の調査、接触者の追跡、疫学分析を実施しました。
- 迅速な対応を確保するため、作戦・財政・技術支援を提供しました(WHOの緊急時対応資金から総額340万米ドルを拠出して、政府主導の対応を支援し、さらに、対応を支援するため寄付者から総額410万米ドルが動員されました)。
- 国の検査体制を支援し、検体採取・輸送・診断検査の実施を促進し、RT-PCR検査キットを提供しました。
- 技術的・運用的なサポートの提供として、医療施設およびエボラ治療ユニットの感染予防・管理対策を強化しました(カンパラ、ムバレ、ルウェロ地区において、IPCリングの活性化活動、医療施設の迅速評価、医療従事者の能力強化、指導・監督支援、主要なガイダンス・標準作業手順書・ツールの開発支援を含む)。
- 候補ワクチンおよび治療薬へのアクセスを促進し、ワクチン試験の開始を支援しました(全ての確定症例を中心としたリングが定義され、接触者には試験への同意が求められました)。この支援の一環として、「TOKEMEZA SVD」ワクチン試験が2025年2月3日に開始され、「TOKOMEZA immuno」(追加研究)が2025年3月1日に開始されました。
- 疑い例のための隔離センターおよびSVD治療ユニットの設置のために技術者を提供しました(カンパラおよびムバレに2つのSVD治療ユニットを設置)。
- 政府の供給を補完するための物流支援を動員しました(IPC用品、医薬品、蘇生・モニタリング機器、入院用パッケージ、マットレスなどを含む)。
- 対応支援のために専門家67人をジンジャ、カンパラ、ムバレ、カンパラ、ワキソ地区に派遣しました(調整、サーベイランス、検査、物流、感染予防と管理、リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメント、症例管理などの分野を支援)。
- 2人の人類学者の派遣を通じて、誤情報に対抗しコミュニティ・エンゲージメントを強化するためのRCCE活動を支援しました。
- 強化された統合型リスクコミュニケーションおよびコミュニティ・エンゲージメントを推進しました(村の保健チーム、伝統的ヒーラー、宗教指導者、教師の啓発および訓練を実施)。
- 社会・行動データを収集し、エビデンスに基づいた対応を実施して、地域社会の不安や懸念、噂、誤情報・偽情報に対処しました。
WHOのリスク評価
2025年4月26日、42日間連続で新規感染者が報告されなかったため、アウトブレイクの終息が宣言されました。
SVDは、ヒトに影響を与える重篤で致死的な病気です。スーダンウイルスは1976年6月にスーダン南部で初めて確認されました。それ以来、このウイルスは定期的に出現し、ウガンダで5件、スーダンで3件の計8件のスーダンウイルスによるアウトブレイクが報告されています。SVDの致命率は、過去のアウトブレイクで41%から70%と幅があります。
スーダンウイルスは、この地域に生息する宿主動物内で保持されています。ウガンダではこれまでに5回のSVD発生が報告されています(2000年に1回、2011年に1回、2012年に2回、2022年に1回)。 今回はウガンダにおける6回目のSVDアウトブレイクです。ウガンダにおける直近のSVDアウトブレイクは、2023年1月11日に終息が宣言されました。9つの地区で合計164例の感染例と55例の死亡例が報告されました。
今回のアウトブレイクは、SVDの再流行がウガンダにおける重大な公衆衛生上の懸念事項であることを示しました。サーベイランス能力の強化は、今後のアウトブレイクを早期に発見し、さらなる拡大を防ぐのに役立ちます。
流行の発生源と範囲を特定し、潜在的な感染連鎖が存在しないことを確認するとともに、今後のリスク軽減策に役立てることを目的として、調査が進行中です。
SVDは、ヒトに影響を与える重篤で致死的な病気です。スーダンウイルスは1976年6月にスーダン南部で初めて確認されました。それ以来、このウイルスは定期的に出現し、ウガンダで5件、スーダンで3件の計8件のスーダンウイルスによるアウトブレイクが報告されています。SVDの致命率は、過去のアウトブレイクで41%から70%と幅があります。
スーダンウイルスは、この地域に生息する宿主動物内で保持されています。ウガンダではこれまでに5回のSVD発生が報告されています(2000年に1回、2011年に1回、2012年に2回、2022年に1回)。 今回はウガンダにおける6回目のSVDアウトブレイクです。ウガンダにおける直近のSVDアウトブレイクは、2023年1月11日に終息が宣言されました。9つの地区で合計164例の感染例と55例の死亡例が報告されました。
今回のアウトブレイクは、SVDの再流行がウガンダにおける重大な公衆衛生上の懸念事項であることを示しました。サーベイランス能力の強化は、今後のアウトブレイクを早期に発見し、さらなる拡大を防ぐのに役立ちます。
流行の発生源と範囲を特定し、潜在的な感染連鎖が存在しないことを確認するとともに、今後のリスク軽減策に役立てることを目的として、調査が進行中です。
WHOのアドバイス
SVDを含むエボラ出血熱の効果的な制圧は、症例管理、サーベイランスと接触者追跡、強力な検査システム、医療とコミュニティにおける感染予防と制圧対策の実施、安全で尊厳のある埋葬、コミュニティ・エンゲージメントと社会動員を含む一連の介入策の適用にかかっています。
SVDアウトブレイクを制圧するためには、リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメントが不可欠です。これには、症状、感染の危険因子、防御策、医療施設で直ちに治療を受けることの重要性に対する認識を高めることが含まれます。また、安全で尊厳のある埋葬に関する慎重かつ支援的な情報も重要です。特に、伝統的ヒーラー、聖職者、「ボダボダ」と呼ばれるバイクタクシーの運転手、地域コミュニティの指導者など、地域社会で重要な情報源となる人々と積極的に関与することに特別な注意を払う必要があります。また、対象者を絞ったキャンペーンや、発生したコミュニティや近隣のコミュニティとの直接的な活動を通じて、意識を高める必要があります。社会行動データを収集するために、迅速な質的評価から得られた知見を活用すべきです。最近の証拠に基づいて強化すべき優先分野は、死亡率サーベイランス、接触者追跡、安全で尊厳のある埋葬です。 信頼関係を醸成し、早期の症状報告を促進するために、誤情報や噂に対処すべきです。
集中的な支持療法を早期に開始することで、生存の可能性が高まります。感染の連鎖を止め、疾病による死亡率を減少させるためには、上記のすべての介入策を感染地域で徹底的に実施する必要があります。症例定義に適合する徴候や症状を示す患者、接触者、感染地域の個人は、生存の可能性を高め、感染を抑えるために、渡航を控え、指定された施設で早期に治療を受けるよう助言されるべきです。
WHOは各国に対し、エボラ出血熱から回復した人々を支援するために、包括的なケアプログラムを実施し、その後の後遺症に対応することを各国に推奨しています。また、体液検査を受けられるように支援し、感染した患者の体液を介した感染のリスクを、適切な方法で軽減することを奨励しています。
近隣諸国との連携を強化し、報告メカニズムの調和を図り、共同調査を実施し、重要なデータをリアルタイムで共有すべきです。周辺国は、症例の早期発見、隔離、治療を可能にするための準備活動を強化すべきです。
現在さまざまなワクチンや治療薬の候補が、開発段階にあります。2020年以降、WHOは科学的審議を招集し、医療対策候補の優先順位付けと臨床試験デザインを検討する独立したプロセスを立ち上げました。1つのワクチン候補と2つの治療薬候補(モノクローナル抗体と抗ウイルス薬)が推奨され、国内で入手可能な状況にあり、無作為化臨床試験プロトコルによる評価(臨床的有効性と安全性)が行われています。
2022年の前回のアウトブレイクを踏まえ政府がとった準備措置と、WHOが主導した世界的な研究協力(最初のMARVAC、現在のFILOVIRUS CORC)により、流行宣言からわずか4日後にワクチン候補の治験が開始されました。
WHOは、現在のリスク評価とエボラ出血熱の流行に関する過去のエビデンスに基づき、ウガンダへの渡航や貿易を制限しないよう勧告しています。
SVDアウトブレイクを制圧するためには、リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメントが不可欠です。これには、症状、感染の危険因子、防御策、医療施設で直ちに治療を受けることの重要性に対する認識を高めることが含まれます。また、安全で尊厳のある埋葬に関する慎重かつ支援的な情報も重要です。特に、伝統的ヒーラー、聖職者、「ボダボダ」と呼ばれるバイクタクシーの運転手、地域コミュニティの指導者など、地域社会で重要な情報源となる人々と積極的に関与することに特別な注意を払う必要があります。また、対象者を絞ったキャンペーンや、発生したコミュニティや近隣のコミュニティとの直接的な活動を通じて、意識を高める必要があります。社会行動データを収集するために、迅速な質的評価から得られた知見を活用すべきです。最近の証拠に基づいて強化すべき優先分野は、死亡率サーベイランス、接触者追跡、安全で尊厳のある埋葬です。 信頼関係を醸成し、早期の症状報告を促進するために、誤情報や噂に対処すべきです。
集中的な支持療法を早期に開始することで、生存の可能性が高まります。感染の連鎖を止め、疾病による死亡率を減少させるためには、上記のすべての介入策を感染地域で徹底的に実施する必要があります。症例定義に適合する徴候や症状を示す患者、接触者、感染地域の個人は、生存の可能性を高め、感染を抑えるために、渡航を控え、指定された施設で早期に治療を受けるよう助言されるべきです。
WHOは各国に対し、エボラ出血熱から回復した人々を支援するために、包括的なケアプログラムを実施し、その後の後遺症に対応することを各国に推奨しています。また、体液検査を受けられるように支援し、感染した患者の体液を介した感染のリスクを、適切な方法で軽減することを奨励しています。
近隣諸国との連携を強化し、報告メカニズムの調和を図り、共同調査を実施し、重要なデータをリアルタイムで共有すべきです。周辺国は、症例の早期発見、隔離、治療を可能にするための準備活動を強化すべきです。
現在さまざまなワクチンや治療薬の候補が、開発段階にあります。2020年以降、WHOは科学的審議を招集し、医療対策候補の優先順位付けと臨床試験デザインを検討する独立したプロセスを立ち上げました。1つのワクチン候補と2つの治療薬候補(モノクローナル抗体と抗ウイルス薬)が推奨され、国内で入手可能な状況にあり、無作為化臨床試験プロトコルによる評価(臨床的有効性と安全性)が行われています。
2022年の前回のアウトブレイクを踏まえ政府がとった準備措置と、WHOが主導した世界的な研究協力(最初のMARVAC、現在のFILOVIRUS CORC)により、流行宣言からわずか4日後にワクチン候補の治験が開始されました。
WHOは、現在のリスク評価とエボラ出血熱の流行に関する過去のエビデンスに基づき、ウガンダへの渡航や貿易を制限しないよう勧告しています。
出典
World Health Organization(26 April 2025)Disease Outbreak News; Sudan virus disease - Uganda<br>
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON566
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON566
備考
This translation was not created by the World Health Organization (WHO). WHO is not responsible for the content or accuracy of this translation. The original English edition “Sudan virus disease - Uganda. Geneva: World Health Organization; 2025. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO” shall be the binding and authentic edition.