2012年05月17日更新 熱帯・亜熱帯地域でのデング熱について(2011年)
デング熱は蚊によってうつる感染症で、熱帯・亜熱帯地方にみられます。発熱、頭痛、眼の奥の痛み、関節痛、筋肉痛、発疹、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。通常は軽い症状で経過しますが、症状が重くなって、出血しやすくなったり、血圧が下がったりすることもあり、死亡することもあります。
5月16日に公表されたCDCの情報によりますと、2011年に下記の地域でデング熱の報告がありました。
- アフリカ・インド洋諸島
2011年9月、ウガンダ保健省は、モガディシュ(Mogadishu)でデング熱の発生を報告しました。2011年9月、ケニア保健省は、ケニア北部のいくつかの町でデング熱の複数発生を報告しており、マンデラ(Mandera)とワジール(Wajir)でデング熱感染が確認されました。
- 南太平洋、東南アジア
2011年10月、マーシャル諸島共和国は、大規模なデング熱の発生(合計1,638例が報告)により緊急事態を宣言しました。マジュロ環礁ではデング熱の患者が最も多く報告されました。
デング熱の流行は、ミクロネシアのヤップ(Yap)州やパラオでも報告されました。2012年2月27日時点で、ヤップ州から1,173例が報告されています。
さらに、フィリピン、ベトナム、タイでも2011年にデング熱の活動を報告し、オーストラリアのクイーンズランド州北部の地域で散発的な報告が続いています。
- アメリカ大陸とカリブ海諸国
2011年、1,034,064例(このうち重症デング熱が18,321例、死亡例が716例)が汎米保健機構(PAHO)へ報告されました。デング熱症例数と死亡数は、パラグアイ、パナマ、アルバ、バハマ諸島、セントルシアで前年を上回りました。
- 中東
デング熱は、旅行者に人気のサウジアラビアのジェッダ(Jeddah)を含む中東全域で散発的に報告されています。
デング熱の症状は、インフルエンザなどの他の感染症と似ています。
頭痛、目の痛み、発熱、発疹、鼻血などの症状があらわれたら、すぐに医師の診察を受けましょう。
現地へ渡航される方は今後の流行情報に注意するとともに、以下のような対策をとることをお勧めします。
デング熱に関する最新情報、国別情報はこちらでも入手可能です。
→デング熱マップ(CDCウェブサイト英語)
蚊に刺されないための対策
デング熱をうつす蚊は、通常、夕暮れ時や朝方に活発に活動します。しかし、曇りの日や、室内、日陰になっている場所などでは、日中でも刺される可能性があります。
- 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているかエアコンが備わった、また、蚊をしっかりと駆除している宿泊施設に滞在してください。ホテルの網戸設備が十分でないようならば蚊帳(かや)をご使用ください。蚊取り線香も有効です。
- 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
- 屋外にでかける場合や網戸がない建物では、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書にかかれた使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合、虫よけ剤を使用する前に日焼け止めをつけてください。
- 子どもの虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおうなどの対策をとってください。
心配な場合には早めの受診を
海外で熱が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。デング熱が流行している地域には、マラリアなど蚊でうつる他の危険な病気も流行している場所もあり、しっかりと区別して治療を受ける必要があります。
デング熱の流行地域からのご帰国の際に、熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。検疫所ではデング熱やマラリアの検査を行うことができます。簡易検査、精密検査がありますが、必要に応じて行う精密検査は結果が判明するまでに時間がかかります。結果は後ほどご連絡します。帰国後に発症、またはいまの症状が良くならない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご連絡ください。
デング熱は、患者から他の人に直接うつることはありませんが、日本国内でも発熱が続いている期間に蚊に刺されると、その蚊が他の人にうつす危険があります。症状がある間はくれぐれも蚊に刺されないようご注意ください。
感染症情報:デング熱
出典
CDC:
http://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/in-the-news/dengue-tropical-sub-tropical.htm