2013年01月16日更新 中米でのコレラの流行状況について (更新1)

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。軽くすむことも多いですが、重い下痢が起こることがあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することもあります。

1月15日に公表された汎米保健機関(PAHO)の情報によりますと、中米でのコレラの発生状況は、下記の通りです。

ハイチの状況

ハイチでは2010年10月以降、コレラの流行が続いています。流行の始まりから1月7日までに報告されたコレラの患者は合計638,511人に達しており、そのうち352,532人(55%)が入院し、7,943人が死亡しています。2011年11月以降、全体の致死率は1.2%ですが、地域によって差があり、グランド・アンセ(Grand Anse)では4.0%ですが、ポルトープランス(Port-au-Prince)では0.7%です。

2012年10月以降、コレラの患者数と死亡者数は減少傾向にありますが、今年の第1週は、昨年の同時期に比べて患者数と死亡者数が多くなっています。

ドミニカ共和国の状況

ドミニカ共和国でも、2010年11月以降、コレラの流行が続いています。流行の始まりから今年の第1週までに29,490人の疑い患者が報告されており、そのうち426人が死亡しています。2010年は雨季の到来とともに流行が広がり、致死率は1.7%、発病率は0.2%に増加しました。2011年には流行は持続的に減少しましたが、特定の地域の集団発生に関連するピークがみられ、年末の致死率は0.8%、累積発病率は0.3%でした。

今年の第1週は、ラ・アルタグラシア(La Altagracia)の刑務所内でコレラの集団発生があり、37人の患者と2人の死亡者が報告されています。この集団発生は、汚染された飲料水と過密な環境に関連しています。ドミニカ共和国の当局によって、水や衛生状態の改善やドキシサイクリンの単回投与による化学予防などの措置が講じられています。

キューバの状況

キューバでは、国際保健規則の担当窓口から、今年1月6日現在、セロ(Cerro)やハバナ(Havana)で食品の取り扱いに関連して急性下痢性疾患が増加したと報告されました。コレラの疑い患者から採取された検体は、ペドロ・コウリ熱帯医学研究所で解析されました。1月14日時点のコレラの確定患者数は51名で、O1型のエルトール・小川型のコレラ菌でした。

その前には、ハリケーン「サンディ」が通過した後に、カマグエイ(Camagüey)、グアンタナモ(Guantanamo)、サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)の3州で、合計47人の確定患者が報告されました。

キューバでは、手指衛生や食品・水を摂取する時の注意に重点を置いた健康教育が強化されているほか、飲料水の確保や厳格な食品衛生対策が継続されています。


中米へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策をとってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使
    うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療
    を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報

出典

PAHO
Epidemiological Alert Cholera Epidemiological Update15 January 2013
http://new.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=19785&Itemid=&lang=en

参考

FORTH 新着情報

中米でのコレラの流行状況について (更新3) (2013年1月9日)
https://www.forth.go.jp/topics/2013/01091049.html