2013年10月15日更新 中米でのコレラの流行状況について (更新6)

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いことも多いですが、重い下痢が起こることがあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することもあります。

10 月12日付で公表された汎米保健機関(PAHO)の情報によりますと、キューバ、ドミニカ共和国、ハイチ、メキシコにおけるコレラの発生状況は下記の通りです。

キューバの状況
キューバでは、2012年第27週から今年第34週までに合計678人の患者が発生し、このうち3人が死亡しました。患者のうち12人は、他の国からキューバに渡航した患者です。患者が発生した地域は、カマグエイ(Camaguey)、グランマ(Granma)、グアンタナモ(Guantanamo)、ハバナ(Habana)、サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)とこれらの州に関連する町です。

ドミニカ共和国の状況
ドミニカ共和国でも、コレラの流行が始まり(2010年11月)から、今年第39週までに、31,045人の疑い患者が報告され、このうち457人が死亡しました。今年第1週から第9週までの期間と第32週から第39週までの期間に、患者数が増加しました。この増加は、ラ・アルタグラシア(La Altagracia)、マリア・トリニダー・サンチェス(Maria Trinidad Sanchez)、サン・クリストバル(San Cristóbal)、サンティアゴ(Santiago)で発生した集団発生に関連しています。2011年の致死率は1.7%、2012年の致死率は0.8%でしたが、今年の致死率は現時点で2.1%に達しています。

ハイチの状況
ハイチでは、コレラの流行が始まり(2010年10月)から、今年第39週までに報告されたコレラの患者は合計679,637人に達しており、そのうち377,951人(55.6%)が入院し、8,297人が死亡しました。2011年11月以降、全国の致死率は1.2%ですが、地域によって異なり、南東(Sud Est)県では4.3%であり、ポルトープランス(Port-au-Prince)では0.6%です。

今年第1週から第11週における全国の患者数と死亡者数は、昨年の同時期に比べて高い水準でした。この増加は、アルティボニット(Artibonite)県、中央(Centre)県、グランダンス(Grand Anse)県、西(Ouest)県の集団発生に関連しています。今年第12週から第39週に報告された患者数と死亡者数は、昨年の同時期に比べて低い水準でした。

メキシコの状況
メキシコの国際保健規則の担当は、今年9月9日から10月10日までに、国内でコレラ菌(Viblio cholerae)O1、血清型Ogawaに感染した確定患者が159人発生したと報告しました。このうち1人が死亡しました。

確定患者のうち、2人(1.3%)は連邦区、145人(91.2%)はイダルゴ(Hidalgo)州、9人(5.7%)はメヒコ(Mexico)州、1人(0.6%)はサン・ルイス・ポトシ(San Luis Potosi)州、2人(1.3%)はベラクルス(Veracruz)で発生しました。患者のうち84人(53%)が女性で、75人(47%)は男性でした。患者の年齢は3か月から88歳でした。また、患者のうち43人(27%)が入院しました。

調査の結果、イダルゴ州の河川の水が感染源とされています。

メキシコの保健当局は、コレラの予防と対応策として、国レベルで疫学的な活動の強化、データの有効利用と医療の質の確保、地域レベルでの飲用水の確保と基本的な衛生対策の実施、塩素濃度の監視を継続しています。様々なレベルの医療システムで保健の専門家がコレラの予防・治療・制御に関するトレーニングを受けています。水と食品の安全に関する市民への啓発活動は、スペイン語のほか、ナワトル語やオトミ語でも行われています。

メキシコにおけるコレラの地域内感染は、1991年から2001年の間に発生したコレラの流行以来、初めてのことです。メキシコの患者から分離された系統の遺伝子学的な特徴は、カリブ海の3か国(ハイチ、ドミニカ共和国、キューバ)で流行している系統と95%を超える高い相同性がみられ、10年以上前にメキシコで流行した系統とは異なっています。

  • 中米へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。
  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報食べ物・水にご注意を!コレラ

出典

PAHOEpidemiological UpdateCholera 12 October 2013
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=23317&Itemid

参考

FORTH 新着情報
中米でのコレラの流行状況について (更新5) (2013年9 月27日)
https://www.forth.go.jp/topics/2013/09271306.html