2013年11月14日更新 中米でのコレラの流行状況について (更新9)

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いことも多いですが、重い下痢が起こることがあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することもあります。

11月13日付で公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、メキシコ保健省は、コレラ菌(Viblio cholerae)O1、血清型Ogawaに感染した患者が新たに4人発生したと報告しました。患者のうち2人はイダルゴ(Hidalgo)州から報告され、他の2人はベラクルス(Veracruz)州から報告されました。

メキシコでは、今年9月に集団感染が発生してから、これまでに、コレラ菌に感染したと確定された患者は180人と報告されており、このうち1人が死亡しました。確定患者のうち、2人は連邦区、159人はイダルゴ州、9人はメヒコ(Mexico)州、2人はサン・ルイス・ポトシ(San Luis Potosi)州、8人はベラクルス州で発生しました。確定患者のうち、女性は92人で、男性は88人でした。患者の年齢層は3か月から88歳でした。

メキシコの保健当局は、国レベルで集団発生の調査とサーベイランスの強化、医療へのアクセスと医療の質の確保を継続しています。様々なレベルの医療システムで保健の専門家がコレラの予防と治療に関するトレーニングを受けています。地域レベルでの飲用水の確保と基本的な衛生対策が実施されています。特に、水と食品の安全に関する市民への啓発活動は、スペイン語のほか、先住民族の言語でも行われています。

疫学診断・レファレンス研究施設(Institute of Epidemiological Diagnostics and Reference)で行われたコレラ菌の感受性検査では、ドキシサイクリンとクロラムフェニコールに対しては感受性がありましたが、シプロフロキサシンに対する感受性が低下しており、トリメトプリム・スルファメトキサゾールに対しては耐性を示しました。

メキシコにおけるコレラの地域内感染は、1991年から2001年の間に発生したコレラの流行以来、初めてのことです。メキシコの患者から分離された系統の遺伝子学的な特徴は、カリブ海の3か国(ハイチ、ドミニカ共和国、キューバ)で流行している系統と高い相同性(95%)がみられ、1991年から2001年の間にメキシコで流行した系統とは異なっています。

WHOは、メキシコのこの事例に関して渡航や貿易を制限することを推奨していません。

中米へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報食べ物・水にご注意を!コレラ

出典

WHOGlobal Alert and Response(GAR) :Cholera in Mexico– update
http://www.who.int/csr/don/2013_11_13/en/index.html

参考

FORTH 新着情報
中米でのコレラの流行状況について (更新8) (2013年10月29日)
https://www.forth.go.jp/topics/2013/10291138.html