2012年05月18日更新 ダニが媒介する病気に注意しましょう。

ダニは世界に広く分布しており、多くの病気を人へうつします。ヨーロッパでは、ダニは早春から晩秋までの期間、各地の森林に多く生息しています。ダニは動物の血液を吸って生きますが、時々人をかむことがあります。

ダニ自体が病気を引き起こすことはありませんが、ダニがウイルスや細菌に感染している場合、様々な病気を人へうつします。

これらの病気は、ダニに咬まれてから症状のない期間(潜伏期間)を経た後、発熱・頭痛・筋肉痛といったインフルエンザに似た症状や、ダニに咬まれた部位の発疹・腫れ、リンパ節の腫れなどの症状を起こします。適切な抗生物質が有効な病気もあります。

ヨーロッパでは、ダニが媒介する病気でよくみられるものが2つあります。

アジアでもみられます。ウイルスが脳に感染し、脳炎を引き起こす可能性があります。4人に1人の割合で高熱、激しい頭痛、時に麻痺を伴い、けいれんなどの症状を含む脳炎を発症します。ほとんどは回復しますが、1/3の割合で合併症による長期療養が必要になることがあります。効果的なワクチンがありますが、国産のワクチンはないため、輸入ワクチンを取り扱っている施設で医師とご相談ください。
また、ウイルスに感染した動物から生産された乳製品、まれに、輸血や母乳からうつることがあります。

ヨーロッパの他、北米、温帯アジアでもみられます。症状が全く出ない場合から特徴的な皮膚発疹や神経症状を伴う髄膜炎などを起こす場合と幅広く、抗生物質が効果的です。

ヨーロッパでは珍しいですが、他の地域でみられる重要なダニ媒介性の病気があります。

アフリカ、アジア、中東、ヨーロッパ東部、ヨーロッパ南西部に分布しています。アルバニア、アルメニア、ブルガリア、カザフスタン、コソボ、ロシア、セルビア、タジキスタン、トルコ、トルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタンから報告されています。家きんや他の動物と接触して働く人々はこの病気に感染する危険性が最も高いです。
また、WHOパキスタン事務所によりますと、2012年4月5日から4月30日の間に発症した感染の疑いのある患者が10例(うち4例死亡)報告されました。パキスタンでは通常6月から9月にかけ流行のピークですが、今年は早く始まっているようです。

イベリア半島やアジア西部の半島で発見されており、アフリカ、中央アジア、中南米、北米西部、地中海で発生しています。

これらのダニが媒介する病気の流行する地域へ渡航するの方は、以下のことに注意しましょう。

ダニに咬まれないように注意しましょう。

  • ダニは主に草地や森林にいます。ダニの多い草原地帯にはなるべく行かないようにしましょう。また、このような場所で、長時間座ったり、寝たりしないでください。
  • 袖口が狭くて、色の薄い長袖の服を着てください。ダニが付くことや咬まれることを予防できるだけではなく、付いたダニを見つけやすくなります。
  • 露出した皮膚と服にDEET(ディート)などの虫よけ剤を使ってください。ダニの付きやすい場所は、頭皮、腰部、わきの下、腹部と足指などの部位です。
  • ダニに咬まれていることを発見したら、ダニの体内や傷ついた皮膚からでる液体に病原体がいる可能性があるので、手で直接ダニを取ったり、つぶしたりしないでください。皮膚科などで、マダニの頭部が残らないように除去してもらいましょう。
  • ダニは家畜やペットの体に寄生します。動物の体にダニがいることを発見したら、ダニに咬まれないように、その動物との接触を避けるようにしてください。
  • ダニに咬まれたことのある方、野外活動をしたことのある方で、症状が出た場合には、直ちに医療機関を受診してください。
  • 現地で医療機関へ行く場合には、なるべく他の患者や入院病棟、血液の付いている可能性のある廃棄物などには近づかないようにしてください
  • 流行地域では、殺菌されていない乳製品を摂取しないようにしてください

これらの地域へ行かれる方は十分注意してください

海外滞在中や帰国後に、インフルエンザ様の症状、皮膚の発疹など、感染が疑われるような気がかりな症状がみられた場合、すぐに医療機関を受診し、渡航した地域と環境について医師に伝えてください。また、ご帰国の際に熱や心配な症状がある方は検疫所の担当者にご相談ください。

感染症情報

参考