2011年12月05日更新 インドで蚊によってうつる感染症のリスクが高くなっています(更新1)

蚊は動物や人から吸血する際に、持っている感染症の病原体(マラリア・デング熱・日本脳炎などの病原体)をうつすことがあります。雨季の間や雨季直後に感染するリスクが高まります。

インド保健福祉省によると、蚊を媒介とした感染症の報告数が増加しています(2011年11月末時点)。
日本脳炎の症例累積報告数は、インド国内で合計7,137症例(うち1,064人死亡)であり、先月末に比べ、977症例(220人死亡)の増加が見られます。ウッタル・プラディーシュ州で3,363症例(538人死亡)、アッサム州で1,319症例(250人死亡)、ビハール州で821症例(197人死亡)、タミル・ナードゥ州で603症例(15人死亡)などとなっています。

デング熱の症例累積報告数は、合計14,047症例(93人死亡)であり、先月末の時点に比べ、4,012症例(8人死亡)の増加が見られます。パンジャーブ州、オリッサ州、タミル・ナードゥ州の順に多くなっています。死亡者はオリッサ州の32人が最多です。

臨床的にチクングニアと疑われている症例累積報告数は、合計14,820症例で、先月末の時点に比べ、3,494症例の増加が見られます。ウエストベンガル州、マハーラーシュトラ州、タミル・ナードゥ州の順に多くなっています。

2011年第45週(11月7日から11月13日)の報告において、マラリアの流行が、複数の地域で見られます。ジャールカンド州ウエストスウィンブーム県で104症例(熱帯熱マラリア97症例、三日熱マラリア7症例)、マディア・プラデーシュ州マーンドラー県で33症例(全症例熱帯熱マラリア)、ラージャスターン州ウダイプル県で23症例(熱帯熱マラリア5症例、三日熱マラリア18症例)が発生しています。

蚊に刺されないための対策

虫除け対策をしよう
網戸がとりつけられているかエアコンが備わった、また、蚊を駆除している宿泊場所に滞在してください。宿泊場所の網戸設備が十分でない場合は蚊帳(かや)をご使用ください。蚊取り線香も有効です。

  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物では、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書にかかれた使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合、虫よけ剤を使用する前に日焼け止めをつけてください。
  • 子どもとくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

海外で熱が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。デング熱が流行している地域には、マラリアなど蚊でうつる他の危険な病気も流行している場所もあり、しっかりと区別して治療を受ける必要があります。
デング熱の流行地域からのご帰国の際に、熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にお申し出ください。検疫所ではデング熱やマラリアの検査を行うことができます。簡易検査、確定検査がありますが、確定検査は結果が判明するまでに時間がかかります。結果は後ほどご連絡します。帰宅後に発症、もしくはいまの症状が軽快しない場合は、お近くの医療機関または検疫所までただちにご連絡ください。
デング熱やマラリアは隔離の対象疾患ではありませんので、検査結果が陽性でもすぐに入国できます。
万一デング熱やマラリアにかかっている場合、直接他の人にうつることはありませんが、日本国内でも発熱が続いている期間に蚊に刺されると、その蚊が他の人にうつす危険があります。症状がある間はくれぐれも蚊に刺されないようご注意ください。

感染症情報日本脳炎デング熱チクングニア熱マラリア

出典

National Vector Borne Disease Control Programme
Directorate General of Health Services
Ministry of Health& Family Welfare
http://www.nvbdcp.gov.in/home.htm

参考

新着情報  11月7日インドで蚊によってうつる感染症のリスクが高くなっています。