2012年08月06日更新 ウガンダでエボラ出血熱が発生しています(更新2)

ウガンダ西部のキバレ(Kibaale)でエボラ出血熱が発生しています。初発患者は、キバレのNyamarunda地域のNyanswiga村で発見されました。

エボラ出血熱は、エボラウイルスによって起こる病気で、死に至ることが多い病気です。ウイルスに感染した人の血液や体液からうつるほか、ウイルスに汚染されたものやウイルスに感染した動物に触れることでうつります。発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、のどの痛みなどの症状が出た後、下痢や嘔吐、胃の痛みなどの症状が起こります。皮膚の発疹、目の充血、からだのさまざまな部位からの出血が起こることもあります。ワクチンや特別な治療方法はありません。

2012年8月3日に公表されたWHOの情報によりますと、ウガンダ保健省は、患者数が53人になり、そのうち16人が死亡したと報告しています。このうち、5人確定診断はエンテベ(Entebbe)にあるウガンダウイルス研究所で行われました。(3人は死亡者で、2人は現在隔離病棟で治療中です。)

現在、32人がキバレのカガディ(Kagadi)病院の隔離病棟に入院し、合計312人が接触者として確認されました。そのうちの253人が綿密に経過観察されています。

これまでに他の地区で採取された検体が検査されましたが、いずれの検体もエボラ出血熱は陰性でした。これはキバレからの感染拡大はみられていないことを示しています。しかし、キバレの患者を治療のためにカンパラのムラゴ(Mulago)病院に搬送した医療スタッフが、その後死亡しています。

ムラゴ病院に死亡者を搬送した7人の医療スタッフは接触者として毎日監視されていますが、これまでのところ発症した人はいません。

<対応について>

ウガンダ政府はこのアウトブレイクを制御するため、協力機関と共に対応を続けています。

中央レベルでは、総理大臣はアウトブレイクの対応を促進し、調整するため保健大臣を議長とした閣僚級の対策本部を招集しました。

キバレでは、地元の保健当局が、資源や物品の供給を動員するため協力機関と対策本部を通じて取り組んでいます。協力機関にはWHO、米国CDC、ウガンダ赤十字社、国境なき医師団(MSF)が含まれています。WHOはウガンダへ個人防護具を含めた物資の提供を行っています。

実地対応のための必要な資金が動員されており、地元のNGOであるEMESCO財団やキバレの国会議員、感染症研究所(IDI)、ウガンダ赤十字社から追加支援がなされています。

WHOや米国CDCの疫学専門家はキバレに到着し、エボラ出血熱の症例のトリアージやスクリーニングの対応をサポートしています。WHOはGOARN(Global Outbreak Alert and Response Network)の協力機関と調整しています。

MSFの支援を受けて、キバレのカガディでは新たな隔離施設が建設され、今日にも完成が期待されており、新たに建設された病棟は増加した疑い症例の入院に使用される予定です。MSF、IDI、EMESCOは隔離病棟の入院患者へ食料を提供し、2週間先まで提供されることが決まりました。

地域の積極的なサーベイランスや接触者調査のため、さらなる人員と救急車が必要であるため、地元当局が調整しています。

社会的動員について、ウガンダ赤十字社は62のボランティアチームを訓練し、村の保健チームは社会動員と啓発活動を行っています。さらに国民への情報提供は、20のラジオ局で、11言語で実施されています。WHOはこれらの活動を支援するために医療人類学者を活用しています。

<近隣諸国について>

ウガンダに隣接する各国は、エボラ出血熱の患者の発見と対応のため監視を強化しています。

ケニアでは、2人の疑い症例が報道されましたが、いずれも陰性でした。

南スーダン保健省は、WHOと共同で一般国民へのガイダンスを発行し、南スーダンとウガンダ間の人口移動や貿易の高いことを踏まえ、監視強化に着手するための国家対策本部を設置しました。


WHOはウガンダへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

ウガンダに渡航する方は、現地の情報に注意してください。手洗いなどの一般的な衛生対策を行ってください。また、感染した人の血液や体液、それらで汚染された可能性のあるもの、動物に触らないでください。

現地で、発熱などの症状が出た場合には、すぐに医療機関を受診してください。また、帰国時に症状がある場合には検疫官にご相談ください。エボラ出血熱は感染してから発症するまでに3週間かかることもあります。帰国してから症状が出た場合には、医療機関または検疫所にご相談ください。

・感染症情報:エボラ出血熱

出典

WHOEbola in Uganda– update
http://www.who.int/csr/don/2012_08_03/en/index.html

参考

FORTH 新着情報

ウガンダでエボラ出血熱が発生しています 2012年7月30日
https://www.forth.go.jp/topics/2012/07301025.html

ウガンダでエボラ出血熱が発生しています(更新1)2012年8月2日
https://www.forth.go.jp/topics/2012/08020952.html