2011年12月07日更新 海外渡航後に日本で報告された検疫感染症について

海外から帰ってきてから発熱することは多く、特に発展途上国から帰ってきた人の2~3%にみられるといわれています。発熱は旅行の疲れや感染症など様々で自然におさまることもあります。しかしマラリアなど急速に進行し命に係わる感染症では、迅速な治療が必要な場合もあります。

2011年11月までに国立感染症研究所に報告されたデータによりますと、海外渡航歴のある人で日本へ帰国後報告された検疫感染症は、マラリア72例(うち検疫所検出2例)、デング熱96例(うち検疫所検出11例)、チクングニア熱9例(うち検疫所検出2例)でした。(感染初期には検疫所の検査では陰性のこともあります。)

特に熱帯・亜熱帯地域*から帰国し、熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者に申し出てください。また「このくらいは大丈夫」とご自分で判断せず、速やかに医療機関を受診し診察、治療を受けましょう。
また、海外滞在中は以下の対策をとることをお勧めします。

蚊に刺されないための対策

虫除け対策をしよう
渡航先では網戸がとりつけられているか、エアコンが備わった宿泊場所に滞在してください。宿泊場所の網戸設備が十分でない場合は蚊帳(かや)をご使用ください。蚊取り線香も有効です。

  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物では、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書にかかれた使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合、虫よけ剤を使用する前に日焼け止めをつけてください。
  • 子どもとくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

海外で熱が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。デング熱が流行している地域には、蚊でうつるマラリアなどの危険な感染症も流行していることも多く、しっかりと区別して治療を受ける必要があります。
これらの感染症が流行している熱帯・亜熱帯地域からご帰国の際に、熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にお申し出ください。検疫所ではマラリアやデング熱、チクングニア熱の検査を行うことができます。簡易検査、確定検査(PCR)がありますが、マラリアやデング熱、チクングニア熱は隔離の対象ではありませんので、簡易検査結果が陽性でもすぐに入国できます。確定検査は結果が判明するまでに時間がかかります。結果は後日ご連絡します。
潜伏期間内に帰国すると帰国後に発症することもあります。帰宅後に発症、もしくはいまの症状が軽快しない場合は、お近くの医療機関または検疫所までただちにご連絡ください。マラリアの場合は専門医療機関受診の必要があります。詳しくは検疫所までお問い合わせください。

万一マラリアやデング熱、チクングニア熱にかかっている場合、直接他の人にうつることはありませんが、日本国内でも発熱が続いている期間に蚊に刺されると、その蚊が他の人にうつす危険があります。症状がある間は、くれぐれも蚊に刺されないようご注意ください。

*感染症情報マラリアデング熱チクングニア熱

出典

国立感染症研究所
「都道府県別累積報告数」http://idsc.nih.go.jp/idwr/sokuho/201147/2011-47-zensu.pdf[PDF形式:122KB]
「検疫所からの報告,渡航先別:2011年 pdf」http://idsc.nih.go.jp/iasr/virus/Pdf/data76j-11.pdf[PDF形式:9KB]