国別情報:メキシコ
気候と気をつけたい病気
- メキシコの気候は、地域によって様々です。アメリカとの国境に近い北部やメキシコシティを含む中央高原部は乾燥地帯、メキシコ湾沿いや太平洋側は温帯、ユカタン半島を含む南部は熱帯です。雨季(5月~10月)と乾季(11月~4月)に分かれ、砂漠地帯や中央高原では、朝晩の気温が10度以下になります。
- 地域によっては、水道水に含まれる有害物質が基準値を超えて検出されることがあります。また、日本とミネラルの含有成分に違いがあるため、下痢をすることもあります。飲用には市販のミネラルウォーターをおすすめします。
- 食べ物や水などを介して感染する消化器系感染症、食中毒、A型肝炎が一年を通してみられます。腸チフス、パラチフス、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)、クリプトスポリジウム症、アメーバ赤痢、ブルセラ症、リステリア症などもあり、特にブタを飼っている農村地域では嚢虫症(のうちゅうしょう)への注意が必要です。また、顎口虫症(回虫)が増加しており、特に南西部のアカプルコで患者が多く、旅行者の感染も報告されています。特に、生の魚介類を食べる際には、食べる時期・場所等に注意し、十分加熱されたものを、冷めないうちに食べるようにしましょう。
- デング熱は標高の高い地域やバハカリフォルニア州の北部を除き、メキシコ全土で流行しています。この数年はデング出血熱の大流行もみられています。マラリアは減少傾向にありますが、一部の農村地域で一年を通して、主に三日熱マラリアに感染する危険があります。また、ウエストナイル熱に感染した人が報告された年もあります。これらの病気は蚊に刺されることでうつります。蚊に刺されないように虫よけ対策をしてください。
- メキシコ南部ではブユによってうつるオンコセルカ症、メキシコ南部と沿岸部ではサシチョウバエによってうつるリーシュマニア症があり、エコツアーや長期滞在の場合は感染する危険が高くなります。また、サシガメによってうつるシャーガス病が発生しています。このほか、ダニやノミによってうつる熱性発疹、ノミによってうつる発疹チフス、ダニによってうつるロッキー山紅斑熱などのリケッチア感染症もあります。アウトドア活動の際などは、吸血昆虫に刺されないよう、虫よけ対策とともに長袖長ズボンの着用が重要です。
- メキシコ北西部ではコクシジオイデス症に注意する必要があります。土埃が生じるところではマスクを着用しましょう。
- 首都のメキシコシティは標高2,240mにあり、高山病になることがあります。個人差がありますが、高山病への備えをしておくとよいでしょう。
- 狂犬病の発生も報告されています。野犬や野良猫のほか、コウモリ、キツネなどあらゆる哺乳類は狂犬病ウイルスをもっていることがありますので、動物に手を出したり、近寄ったりしないようにしましょう。
この国に関する新着情報
受けておきたい予防接種、持っていきたい薬
- *1:犬や野生動物との接触が予想される場合には推奨
- 黄熱流行国から入国する際も、黄熱の国際予防接種証明書は必要ありません。
薬:普段服用している市販の薬、主治医より処方されている薬
- 標高の高い地域では、高山病になる可能性もあります。とくに、低地からの急な移動に際しては注意が必要です。かかりつけ医と相談しておきましょう。
- 常備薬を携帯しましょう。現地でも薬は入手可能ですが、言語の問題もあり、また、自分の体に合うかどうかわかりません。飲み慣れたものを持参するのが安心です。
医療情報
メキシコ市、グアダラハラ市、モンテレイ市の3大都市には高い医療水準の総合病院があります。公立病院では機材や設備の老朽化、医薬品の不足などの問題があります。医師は英語を話しますが、それ以外の病院スタッフの多くは英語を話さないようです。メキシコ市では、多くの日系人医師が開業しており、日本語で診察を受けることができるクリニックもあります。概して医療費は高額で、救急外来などでは受診前には前払いを求められるため、十分な現金を持って受診する必要があります。万が一のことを考え、旅行保険への加入を検討しましょう。
帰国後の過ごし方・注意点
病気は、感染してから症状が出るまでに時間を要します。これを潜伏期間と言います。滞在中数日経過してから、あるいは帰国後に症状が現れることがあります。
日本にはない病気を検査、診断、治療できる機関は限られています。帰国時に心配な症状などある方は、検疫所の担当官にご相談ください。
2014年8月更新