地域別情報:ベトナム・カンボジア
気候と気をつけたい病気
- ベトナムは全体としては高温多雨で、南北に細長い国土のため、同じ時期でも地域によって気候は大きく異なります。特に冬(11~3月)は、北部では朝晩は上着を必要とするほど冷えますが、南部では日中30℃を超える日が続きます。
カンボジアの気候は大きく雨季(6月~11月)と乾季(12月~5月)に分かれ、年間を通じて気温が高い熱帯性気候です。乾季の12月から3月中旬は湿度が低く、比較的過ごしやすくなりますが、3月後半から5月にかけては暑さが厳しくなります。
- ベトナムでは上下水道の不備などが目立ち、水質も良くありません。カンボジアではプノンペン市内の上水道の浄化施設は改善されましたが、配管や施設の浄化槽の管理が十分とはいえません。飲用には市販のミネラルウォーターをお勧めします。また氷は水道水で作られている場合もあるので、飲食店では前もって氷をいれないよう伝えておくことも重要です。
- 不衛生な屋台などでの食事や不完全な調理が原因となり、アメーバ赤痢やA型肝炎などにかかる場合もあります。ベトナム全土でコレラの発生が散発的に見られています。寄生虫による感染症もありますので生で魚介類を食べることは避け、十分加熱されたものを冷めないうちに食べるようにしましょう。
- ベトナムでは、雨季をピークに、全土でデング熱が発生しています。デング熱は、カンボジアの都市部でも多く発生しており、蚊が発生しやすい雨季には患者が増加します。日本脳炎は、ベトナム、カンボジアともに、雨季をピークに発生しています。マラリアは、ベトナムでは都市部、紅海デルタ、メコンデルタ、ベトナム中央の沿岸部を除いた全土に熱帯熱マラリアのリスクがあります。カンボジアの沿岸部を含む田舎の森林地域はすべて一年中マラリアのリスクがあり、プノンペンやトンレサップ付近(シェムリアップ)、アンコールワットではリスクはないか、ごくわずかです。
- ベトナムでは飼い犬などの狂犬病ワクチン接種率が低く、毎年、狂犬病の患者の報告があります。また、鳥インフルエンザ(H5N1)の患者の発生が続いていますので、動物には手を出したり、近寄ったりしないようにしましょう。
- メコン川流域やその他河川には寄生虫がいますので、川に入らないようにしましょう。
この国に関する新着情報
受けておきたい予防接種、持っていきたい薬
- *1:犬や野生動物との接触が予想される場合は推奨
- *2:農村部に長期滞在する場合は推奨
- 黄熱流行国から入国する際は、黄熱の国際予防接種証明書が必要です(カンボジアではトランジットの場合も含みます)。
薬:普段服用している市販の薬、主治医より処方されている薬
- 抗マラリア薬に耐性を持つマラリアもありますので、リスクのある地域へ行かれる方はマラリア予防薬について医師と相談しましょう。
- 常備薬を携帯しましょう。現地でも薬を入手することは可能ですが、言語の問題や自分の体に合うかどうかわかりません。飲み慣れたものを持参するのが安心です。風邪薬、下痢止め、頭痛薬、消毒薬などご自身が服用、使用しているものを持参しましょう。
医療情報
ベトナムの医療水準は改善されつつありますが、近隣のタイやシンガポールなどと比べると、未だ不十分で遅れているのが現状です。一部の都市を除き、近代的な医療設備を持つ医療機関は少なく、地方と都市部の格差が目立ちます。ハノイやホーチミンなどの都市部では、外国人向け医療機関がありますが、主に、軽症の内科的疾患の診療を行っており、外来を中心とする施設がほとんどです。
カンボジアでは1970年代のポルポト政権時代に医療制度が崩壊し、現在再構築している状態ですので、医療施設・医療レベルは、アジアでもかなり遅れています。プノンペン市内やシェリムリアップ市内には外国人向けのクリニックがあり、初期治療が可能ですが、専門医による診療は期待できません。
重症や緊急時、専門的な診断が必要な時などに、近隣のタイやシンガポール、あるいは日本で治療を受けなければならない場合があります。万が一のことを考え、旅行保険への加入を検討しましょう。
帰国後の過ごし方・注意点
病気は、感染してから症状が出るまでに時間を要します。これを潜伏期間と言います。滞在中数日経過してから、あるいは帰国後に症状が現れることがあります。
日本にはない病気を検査、診断、治療できる機関は限られています。帰国時に心配な症状などがある方は、検疫所の担当官にご相談ください。
平成24年6月6日更新