国別情報:エジプト
気候と気をつけたい病気
- 国土の大部分が砂漠で、大きく4つの気候に分かれます。アレキサンドリアやデルタ地帯などは地中海沿岸の地中海性気候、カイロ周辺は半乾燥気候と半砂漠気候、カイロ以南と東方砂漠、西方砂漠は砂漠気候です。アレキサンドリアなど地中海地方は冬に雨が降りますが(平均年間降水量は200ミリ程度)、内陸部にあるカイロ周辺ではほとんど雨が降りません(平均年間降水量は30ミリ未満)。一般に冬季(11月~3月)と夏季(5月~9月)に分かれ、その間に短い春と秋があります。1月と2月は最も寒く、最低気温が5度以下になることもあります。夏季は日差しが非常に強く、日中の気温が50度近くになることもあります。2月下旬から5月上旬にかけてハムシーンと呼ばれる砂嵐が吹き、空港が閉鎖されることもあります。
- エジプトの水道管は老朽化していたり、接続部が不良であったりするため、各戸に給水される途中で病原菌等が混入する可能性があります。また、硬水のため、日本人では一過性の下痢を起こすことがあります。飲用には水道水を煮沸させるか、市販のミネラルウォーターをおすすめします。
- 4月から10月は気温が上昇し、食中毒が多く発生しています。細菌性赤痢やA型肝炎、コレラ、腸チフス、サルモネラ、腸管病原性大腸菌、カンピロバクター感染症、アメーバ赤痢、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)などの経口感染症がありますので、信頼できる飲食店で、十分加熱されたものを冷めないうちに食べるようにしましょう。
- 地中海沿岸地域はブルセラ症 (波状熱、地中海熱、マルタ熱ともいわれます)の発生地域で、ブルセラ菌に汚染された生乳や乳製品(自家製チーズ等)の摂取により感染が起こっています。安全性の確認されているものを食べましょう。
- エジプトでは、ウエストナイル熱に感染するリスクがあります。ウエストナイル熱は蚊に刺されることでうつります。蚊に刺されないように虫よけ対策をしてください。なお、過去にマラリアの患者が発生していましたが、1998年以降は発生していません。
- ナイル川などの河川や湖沼には、皮膚から入る寄生虫(住血吸虫症など)がいますので、入らないようにしましょう。
- 地域によっては、野犬や野良猫に遭遇することがあります。これまでに狂犬病患者の発生が報告されています。狂犬病は犬のほか、サルなどのあらゆる哺乳類にも感染しますので注意が必要です。 また、鳥インフルエンザ(H5N1)の患者の発生が続いていますので、動物には手を出したり、近寄ったりしないようにしましょう。
この国に関する新着情報
受けておきたい予防接種、持っていきたい薬
- *1:犬や野生動物との接触が予想される場合には推奨
- 黄熱流行国から入国する際は、黄熱の国際予防接種証明書が必要です
薬:普段服用している市販の薬、主治医より処方されている薬
- 常備薬を携帯しましょう。現地では、処方箋がなくても抗生剤など多くの種類の薬を薬局で購入することができますが、小児の薬は入手しにくいようです。また品質の問題もありますので、飲み慣れたものを持参するのが安心です。
医療情報
エジプトの医師の水準は比較的高く、ほとんどの専門分野で手術が可能ですが、手術後の管理の質等は必ずしも高くないようです。主要な都市の病院では一般的な病気の対応は可能ですが、救急や集中治療の対応には限界があります。高度な医療技術が必要な場合は、ヨーロッパや日本の医療機関を受診する方がよいでしょう。総合病院の多くは24時間体制で診療を行っています。多くの医師とは英語で会話することができます。診察費や検査費用は前払いで、クレジットカードは一部の病院を除き、ほとんど利用できません。十分な現金を持って受診する必要があります。万が一のことを考え、旅行保険への加入を検討しましょう。
帰国後の過ごし方・注意点
病気は、感染してから症状が出るまでに時間を要します。これを潜伏期間と言います。滞在中数日経過してから、あるいは帰国後に症状が現れることがあります。
日本にはない病気を検査、診断、治療できる機関は限られています。帰国時に心配な症状などある方は、検疫所の担当官にご相談ください。
平成24年8月16日更新