地域別情報:ネパール・ブータン
気候と気をつけたい病気
- ネパールの気候は亜熱帯性気候で、雨季(6月~9月)と乾季(10月~5月)に分かれています。首都カトマンズは標高1,300mに位置し、周囲を山に囲まれた盆地のため、7月、8月の平均気温は24度前後と過ごしやすく、12月、1月でも氷点下になることは少ないです。年間を通じて、昼夜の気温差が大きいです。ブータンは国内の標高差が大きく、気候は標高によって異なります。北緯26度で沖縄県と同じ緯度ですが、渡航者が訪れる地域は標高2000mを超えているところが多く、気温や四季の変化は長野県に近いようです。雨季(5月~9月頃)と乾季(10月~4月頃)に分かれ、日差しが強いですが、風は涼しく、真夏でも過ごしやすい気候です。1月~2月頃は雪も降ることがあります。
- ネパールの上水道は不完全であり、下水システムはありません。トイレの普及率は20%と不衛生な環境です。飲用にはミネラルウォーターを購入するか水道水を煮沸しましょう。
また、市販のミネラルウォーターの中には細菌汚染されているものもあるようですので、製造日の確認やよく流通しているメーカのものを選ぶなど注意が必要です。
- 生水・生ものによる消化器系の病気が一年を通してみられ、特に気温が上昇する雨季は腸チフス、赤痢、A型肝炎、E型肝炎などが多く発生し、そのほかにも食中毒、カンピロバクター感染症、サルモネラ感染症、コレラ、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)、クリプトスポリジウム症、アメーバ赤痢、サイクロスポーラ症などが確認されています。十分加熱されたものを、冷めないうちに食べるようにしましょう。
- 蚊によってうつる日本脳炎は6月から10月にネパール南部の低地(テライ地域)で流行しており、カトマンズの谷を含む山陵地域からも報告されています。ブータンでは南部で日本脳炎が発生しています。ネパールでは一年を通してインドと国境を接するテライ地域で三日熱マラリアのリスクがあります。7月から10月は熱帯熱マラリアが流行することもあります。ブータンでは一年を通して南部の地域にマラリアのリスクがあります。また、雨季には南部以外でもマラリアのリスクがあります。またデング熱やチクングニア熱のリスクもあります。
ネパールではサシチョウバエによってうつるリーシュマニア症 が主に東部のテライ地域で暑い時期の初めをピークに発生しています。首都では感染の心配はありません。
- 狂犬病は、ネパールでは、ヒトと犬に対するワクチン接種が行われるようになり、減少しつつありますが、注意が必要です。主な感染動物は犬、猿、猫、ジャッカルなどですが、犬による咬傷がほとんどです。ブータンでは、野犬が多く、狂犬病による死者も報告されています。動物に手を出したり、近寄ったりしないようにしましょう。
- 毒蛇による被害は日暮れから夜明けまでの時間帯に多く発生しているため、注意が必要です。
- 個人差はありますが、標高2,500mから高山病に注意が必要です。登山する方は、頭痛・吐き気といった高山病の初期症状を見逃さないようにしましょう。また、乗り物酔いにも注意が必要です。
この国に関する新着情報
受けておきたい予防接種、持っていきたい薬
- *1:犬や野生動物との接触が予想される場合には推奨
- *2:農村部に長期滞在する場合は推奨
- 黄熱流行国から入国する際は、黄熱の国際予防接種証明書が必要です(ブータンではトランジットの場合も含みます)。
薬:普段服用している市販の薬、主治医より処方されている薬
- 抗マラリア薬に耐性を持つマラリアもありますので、リスクのある地域へ行く場合にはマラリア予防薬について医師と相談しましょう。
- ヒマラヤ山脈などで登山をされる方は、高山病になる可能性もあります。特に、低地から、急に高地に移動するのは危険です。かかりつけ医や専門の医師と相談しておきましょう。
- 常備薬を携帯しましょう。ネパールではインド製やネパール製の医薬品が入手可能ですが、有効成分の含有量が多いこともあります。ブータンではインド製の医薬品が多く、入手できる医薬品は限られ、不足している状態が続いているようです。
また、言語の問題もあり、自分の体に合うかどうかわかりません。飲み慣れたものを持参するのが安心です。風邪薬、下痢止め、頭痛薬、消毒薬などご自身が服用、使用しているものを持参しましょう。
医療情報
ネパールでは、医師はカトマンズに集中しています。また、ブータンでも、地方では医師が不足しています。重症の場合は、日本、シンガポール、タイ(バンコク)などで医療を受けることになります。万が一のことを考え、旅行保険への加入を検討しましょう。
帰国後の過ごし方・注意点
病気は、感染してから症状が出るまでに時間を要します。これを潜伏期間と言います。滞在中数日経過してから、あるいは帰国後に症状が現れることがあります。
日本にはない病気を検査、診断、治療できる機関は限られています。帰国時に心配な症状などがある方は、検疫所の担当官にご相談ください。
平成24年7月2日更新